ちょうど年内に全体10位までということで、キリがいいので最終回としました。
全体10位 コーネリアス・ランドルフ SS→LF
(グリフィン高~PHI)
ツール評価
Hit: 50 | Power: 50 | Run: 40 | Arm: 55 | Field: 45 | Overall: 45
MLB公式プロスペクトランク
PHIチーム内22位
(2018年12月現在)
2018主要スタッツ
(AA 118試合)
.241/.324/.322 5HR 40RBI 3SB OPS.646
2015年ドラフトの野手陣はここまでのところ、最上位クラスは比較的順調にキャリアを形成しています。そんな中、全体10位のコーネリアス・ランドルフ選手はやや出遅れている感があります。
ドラフト全体TOP10のうち、高卒の選手は野手のみで、全体3位のブレンダン・ロジャース選手、全体5位のカイル・タッカー選手、そしてこのランドルフ選手の3名です。
これまでの紹介記事のとおり、ロジャース選手とタッカー選手はマイナーでも優れた成績を残し、メジャー昇格も目前あるいは済んでいるという状況です。いずれもトレード市場に出回れば間違いなく大物が絡む大型トレードのメイン物件になる価値のある選手でしょう。対してランドルフ選手は、同じ状況であれば残念ながらパッケージの中の1選手にとどまるのが現実的なところ、と言えそうです。
2008年のドラフト全体1位、ティム・ベッカム選手(BAL)と同じグリフィン高出身のランドルフ選手。入団時のツール評価を見てみると、
Hit: 55 | Power: 55 | Run: 40 | Arm: 55 | Field: 40 | Overall: 55
となっています。強みはパワーもあり率も残せる打撃、とのことだったのですが・・・Hit、Powerいずれも評価が下がっており、今シーズンの成績を見ても、打率・出塁率・長打率どれも打撃が売りの選手とはとても思えない寂しい数字が並びます。過去のシーズンの打撃成績も全体10位指名ということを考えるとイマイチで、プロスペクトランクも入団直後にTOP100に入るものの、すぐに圏外に。チーム内でも年を重ねるごとに順位が落ちて行き、少々厳しい状況になってきています。
ただ、昨年辺りからランドルフ選手は打撃に関して試行錯誤している最中のようで、逆方向へのアプローチ中心だったスタイルからよりパワーをつけ、引っ張りも出来ることでフィールド全体に打てる打者への変革を試みているようです。結果、副作用として三振率が急上昇。しかし打率や長打率は上がらず、苦しんでいます。来シーズンにはその成果が現れるか、果たして・・・。
一方で守備の入団時の評価はと言うと、ハンドリングは良いものの俊敏性に欠け、腕の故障もあったためSSに留まるのは難しく、3Bなら務まるというものでした。結局はすぐにLFに転向し、デビューからずっとLFしか守っていません。SSでのField評価は40、LF転向後も45といずれにしろ守備は良くないと言えそうです。PHIとしては打撃を買って指名しており、LFしか守れないことを考えても打撃で結果を出せない限りはマイナーの各クラスを上がっていくことは出来ないでしょう。
22歳で迎える来シーズンは、AAからのスタートと考えるとまだまだ充分に巻き返せる環境にあると言えます。ETAは2019年となっていますが、最低でもシーズン中にAAAには昇格しておきたいところで、いずれにしろ持ち前の打撃でどれだけの結果を残せるかが鍵となる1年になりそうです。メジャー昇格となると、勝負の年に向けて補強が予想される(既にRFにはアンドリュー・マカッチェン選手を獲得済み)PHIのチーム状況の中でそれを目指すのは相当に厳しいのが現実と言えそうです。同じOFには1年後に全体1位指名で入団したミッキー・モニアック選手をはじめライバルも多く、またこれらのプロスペクトを駒にトレード市場で更なる補強することも充分に考えられます。PHIに残されるとしてもトレードされるとしても、ランドルフ選手にとっては大きなステップアップが求められる2019年です。