やった。
本当にやった。
ワールドシリーズが始まる前、ほとんどの人がこう思っていたのでは。
『ヤンキースかアストロズ、ア・リーグのチャンピオンシップを勝ったほうがワールドシリーズも制するだろう』
『アストロズ対ナショナルズ?アストロズの圧勝じゃん』
五分と言えるのは先発陣だけ、それ以外は経験値含め、全てアストロズが圧倒しているのが事実でした。
かく言う私も、ワールドシリーズ進出できただけでも予想以上、最強アストロズ相手に1勝できれば御の字だと思っていました。
ただ・・・シリーズを戦う選手たちはそんな事、微塵も思っていなかった、間違いなくそうでしょう。
目指すは最高の栄誉、ワールドシリーズチャンピオン。相手がどんなに自分達より強かろうと、勝利あるのみ。
そしてこの困難なミッションを、見事に完遂してのけました。
おめでとう、マックス・シャーザー。
最終決戦、先発はナショナルズの大エースであり、第5戦でアクシデントによる登板回避のあったシャーザー投手。
主要タイトル、サイヤング賞など自身のキャリアで数々の栄冠を手にしてきた彼にとって、チャンピオンリングは最後にして最大のピース、そしてFAでの入団以来ずっとナショナルズを引っ張ってきたこともあり、たとえこの登板で腕がダメになっても投げる、という思いだったはずです。
さすがに身体は相当しんどそうに見えましたが、その表情にはずっと闘志が溢れていました。
序盤から三振が全く奪えないなど本調子からは程遠く、グリエル選手に先制ソロを浴びるなど、5回102球、7安打4四球と幾度もピンチを迎えながら最後の気力を振り絞り、何とか2失点にまとめました。
どんなに身体が限界を超えていようと、打ち込まれて試合を壊すことは大エースのプライドが許さなかったのでしょう。
劇的な逆転勝利は、シャーザー投手のこの限界を振り切った踏ん張りのおかげです。
Aníbal Sánchez crying while hugging Max Scherzer and saying "We won one. We finally won one."
— Cut4 (@Cut4) 2019年10月31日
This is everything. pic.twitter.com/bhMdyAfOvW
優勝決定後、彼のトレードマークでもあるオッドアイに光る涙。
勝利に貪欲な男が手にした栄誉。
彼が頑張ったのは、この日、このシリーズじゃないんです。ナショナルズに加入後、ずっとなんです。
本当に、本当に、報われてよかった。
おめでとう、パトリック ・コービン。
シャーザー投手の後を継いだのは今シーズンからFAで加入したコービン投手。
レギュラーシーズンから大型契約に恥じない安定した成績を残していましたが、印象的なのはやはりポストシーズンからのフル回転。
先発、リリーフ両方で投げ続けて脆弱なブルペンを支えてくれました。
今日は6、7、8の3イニングを無失点。
これはとても、とても大きかった!!
0-2のスコアから点差を拡げられると当然追いつくのが難しくなりますし、逆転した後の7回、1点差の状況で流れを再び相手に渡すことなく、中押しに成功した8回もしっかりと三者凡退に抑えました。
味方の逆転によりワールドシリーズ優勝投手の栄誉が回ってきましたが、ポストシーズン通してとても頑張ってくれたことへのご褒美になりましたね!
おめでとう、ダニエル・ハドソン。
最後を締めたのはダニエル・ハドソン投手。
今シーズンはオフにFAとなったものの所属先が見つからず、スプリングトレーニングは招待選手としての参加という苦難も味わいましたが、シーズン途中からナショナルズに加入すると素晴らしい成績でチームの快進撃に貢献。
ナショナルズのブルペンは結局最後まで酷い状態でしたが、そんな中で本当によく頑張ってくれました。
Daniel Hudson joins @Ken_Rosenthal after recording the final out in the 2019 #WorldSeries pic.twitter.com/QRHHyhHakE
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) 2019年10月31日
トミージョン手術を二度も受けるなど、大きな試練も乗り越えた熱き男が、球団初のワールドシリーズ制覇を決める一球を投じることになりました。
決してここまで順風満帆とはいかなかった彼のキャリアで、最高の瞬間となったことでしょう。
YEET. pic.twitter.com/AL9i4rKH3Z
— MLB GIFS (@MLBGIFs) 2019年10月31日
喜び爆発。グラブが遙か彼方に飛んでいってます。(笑)
おめでとう、アンソニー・レンドン。
この試合、攻撃ではアストロズの先発・グレインキー投手が高い緊迫感の中でとても落ち着きのある投球を見せ、付け入る隙を見出せません。
シャーザー投手が魂のこもった投球で5回で仕事を終えましたが、直後も三者凡退で終わってしまうなど6回を終えてヒットは1本・・・負けるにしてもド根性見せんかい!!
と、イライラの募る中でやってくれたのはレンドン選手。
反撃の狼煙となるソロを叩き込みました!
このポストシーズンでは、レンドン選手が打つと打線が一気に活性化し始める印象ですが今日もそのような展開に。
オフにFAとなりますが、MVPクラスのポテンシャルは超大型契約間違いなし。
既にナショナルズが大型オファーを出した事が明らかになっていますが、果たして再契約するのか、それとも新天地へ旅立つのか。
キャリアベストのシーズンを過ごし、ワールドシリーズ優勝まで果たして、彼にとっては最高のタイミングでのFAになりましたね。
おめでとう、ハウィー・ケンドリック!
ゲームをひっくり返したのはチャンピオンシップのMVP、ケンドリック選手。
ディビジョンシリーズの最終決戦では、巨大戦力ドジャース相手にアップセットを決めたグランドスラムを放ちました。
そしてこのワールドシリーズ最後の決戦では逆転の2ラン!
Doink.#WorldSeries // #STAYINTHEFIGHT pic.twitter.com/U3OfQWa3Q1
— Washington Nationals (@Nationals) 2019年10月31日
長くエンゼルスでレギュラーとして活躍した後、トレードでドジャースに移籍するもその後はパッとせず、フィリーズを経て2017年途中からナショナルズへ。
正直言って旬の過ぎた選手という印象が否めませんでしたが、故障による離脱も多いものの出れば良い活躍をするという頼れる兄貴分です。
ナショナルズは旬の過ぎた選手を取ってみては毎年のように素晴らしい活躍を見せるのが印象的ですが(逆にリリーフは毎年のように取ってきた選手が思うように活躍しないのも印象的・・・)、ケンドリック選手と再契約したのは大成功でした。
現在36歳、キャリアも最終盤といえる年齢です。初のチャンピオンリングの獲得、喜びもひとしおでしょうね。
おめでとう、本当におめでとう、ライアン・ジマーマン 。
一度勢いがつくとどんどん打ち始めるのがレギュラーシーズン後半戦くらいからのナショナルズ。
終盤3イニングで6点を取り、鮮やかな逆転からの追加点で試合を決めました。
Mr. National, you are a #CHAMP. pic.twitter.com/i0Oubk69qm
— MLB GIFS (@MLBGIFs) 2019年10月31日
ロースターの中では最古参、チームの顔であるジマーマン選手。
今回の初優勝を最も喜んでいる選手だと思います。9回の守りでは、目が潤んでいました。
2005年のドラフト指名時からナショナルズに在籍している真の生え抜き選手。しかもナショナルズのワシントンD.C.移転後最初のドラフト指名選手ですから、まさにミスター・ナショナルズですね。
近年は年齢からくる衰えか、度重なる故障離脱に成績の浮き沈みも激しいシーズンが続きましたが、弱かった時代からずっと共にあった愛するチームで念願のワールドシリーズ優勝。
思えばシリーズ初戦、いきなり2点を先制されて相手は無敵状態のコール投手という、蓋を開けてみればひょっとするかもしれない・・・というナショナルズファンの多少の望みも打ち砕かれそうな展開の中で、反撃の口火となるソロを放ったのがジマーマン選手でした。
このとき、ファンの多くの『やっぱりダメかな』が『もしかしたらいけるかもしれない?』に変わったんじゃないかな、と勝手に思っています。私がそうでした。
先制された直後の、最高のタイミングで最高の選手が放ったホームランだった、ということをこの第1戦についての記事で書きましたが、それはこの試合だけでなく、シリーズ通じての事になりましたね!
RYAN ZIMMERMAN IS A WORLD SERIES CHAMPION.#STAYINTHEFIGHT pic.twitter.com/RPeVjabc52
— Washington Nationals (@Nationals) 2019年10月31日
そう、チャンピオンはライアン・ジマーマン!!
シリーズMVPはストラスバーグ投手!
シリーズMVPに選ばれたのはストラスバーグ投手。
ワールドシリーズでの活躍も素晴らしかったですが、ポストシーズン全ての登板が勝ちに繋がる好投でしたね。かつて史上最高の逸材と呼ばれた男が、その才能を大舞台で証明しました!
The Greatest #Postseason Starting Pitcher in @MLB History™ is your #WorldSeries MVP!#Strasmas // #STAYINTHEFIGHT pic.twitter.com/DAi0hYxath
— Washington Nationals (@Nationals) 2019年10月31日
オフにオプトアウトを行使してFAになりそうですが、『ドクター・オクトーバー』として来シーズンのワールドシリーズ制覇を目論むチーム同士の争奪戦となることでしょう。
おめでとう!
おめでとう、フアン・ソト。
今日もタイムリーをしっかり打って、その高い潜在能力を大舞台でも動じる事なく発揮するハートの強さを証明しました。レギュラーシーズンもポストシーズンもチームを引っ張った恐るべき21歳。
これからは史上最高の選手を目指していくことでしょうね。頑張れ!
おめでとう、ショーン・ドゥーリトル。
ナショナルズに加入して、早3シーズン目。このチームに加入したリリーバーとしては珍しくいい成績を残していましたが、今シーズンはキャリアワーストの防御率を記録してしまうなどパフォーマンスが悪化。
しかしポストシーズンではハドソン投手と共にクローザーとセットアップを務め、とても頼れる存在でした。彼の頑張りなしに、この快進撃は無かったでしょう。
おめでとう、トレイ・ターナー。
シリーズではあまり活躍出来ませんでしたが、実は私、プロスペクト時代から彼の大ファンなんです。走るのが物凄く速い!!盗塁も上手い!
デビュー後は一度センターにコンバートされましたが、またショートに戻ってしっかりやれてるのも凄い。個人的には、サイクルヒット達成回数の記録を作って欲しいかな。
おめでとう、フェルナンド・ロドニー。
人気者、ロドニー投手ももう42歳。大ベテランですが、未だにチャンピオンリングを持っていませんでした。ようやく手にした栄誉、ここまで長い間やってきて良かったですね。
おめでとう、カート・スズキ。
シリーズ序盤の連勝は、鈴木清さんこと、このスズキ選手の幾度ものブロッキングあってのものでした。負傷で後半は出られませんでしたが、彼も長いプロキャリアで初のチャンピオンリングを獲得。ゴームズ選手と共に、限界を超えて頑張っていた投手陣を必死にサポートしたことが報われました。
おめでとう、デーブ・マルティネス監督!
すごく正直に申し上げますと、昨シーズンにマルティネス監督の就任が決まったとき・・・今年はハーパー選手がFAで、本気で優勝を目指せる最後のシーズンだろう。そんな年に監督経験のない人を据えるなんて、一体GMは何を考えてるんだ?と、思っていました。
結局ノルマと言える地区優勝どころかワイルドカードも逃し、ほら見たことか、もうチャンスは当面来ないのに・・・と、不満しかありませんでした。
それが1年後には・・・信じられませんね。マルティネス監督、恐れ入りました。
ポストシーズンでは、ベンチでシャーザー投手と2人並んで『とにかく俺は勝ちたいんだよ!!』という気持ちのよく表れた、非常に落ち着きのない様子が度々見られて楽しませてもらいました。(笑)
おめでとう、おめでとう、おめでとう!!
他にも、選手、コーチ、フロント、オーナー、そしてファン、みんなみんな、おめでとうございます!!!
なんたって球団史上初!!ですからね。
#STAYINTHEFIGHT
ロースター25人、みんながワールドシリーズ優勝未経験者。
みんながひとつ目のチャンピオンリング。
メジャー最強クラスの先発陣、メジャー最弱のリリーフ陣、コアとなる生え抜きの野手、旬の過ぎたベテラン・・・これだけ強みと弱みがハッキリしたチームがワールドシリーズを勝ち取るというのもなかなか珍しい気がしますが、みんなが勝利を渇望し、補い合い、全力を尽くし、圧倒的な力を誇る相手を下しました。
しかも一度でなく二度も。ドジャースに勝ったのは奇跡、その上でアストロズに勝つんですから信じられませんよ。
今更ですが、
#STAYINTHEFIGHT
とてもいいキャッチフレーズです。
どんなに厳しい状況に置かれても闘い続けたナショナルズ。みんながこれを実践した結果が、最高の栄誉に繋がりました。
おめでとう!!
本当におめでとう!!!