これはビックリ!(初報からもう数日経ってますが)
昨年のMLBドラフトで、ATLから1巡目、全体8位で指名されたカーター・スチュワート投手が、福岡ソフトバンクホークスとの契約に合意したとの情報が出ています。
ケン・ローゼンタール氏のTwitterより。
RHP Carter Stewart, who attended Eastern Florida State College after failing to sign with the #Braves as the No. 8 overall pick in last year’s draft, is in agreement on a contract with the Fukuoka SoftBank Hawks of the Japanese Pacific League, sources tell The Athletic.
— Ken Rosenthal (@Ken_Rosenthal) 2019年5月21日
そしてMLB公式でも。
Last year's No. 8 #MLBDraft pick, Carter Stewart, has agreed to a deal with Fukuoka of the Japanese Pacific League, per @MLBNetwork's @Ken_Rosenthal. #Braves didn't sign Stewart last year due to a wrist injury. He's #59 on our Top 100 Draft Prospects list: https://t.co/klEwXZrZ5L pic.twitter.com/R3ViT5M829
— MLB Pipeline (@MLBPipeline) 2019年5月21日
そしてESPNによると、契約期間6年、総額700万ドル以上の内容で合意したとあります。
Everything you need to know about 19-year-old Carter Stewart's groundbreaking six-year, $7M deal with the Fukuoka SoftBank Hawks of Japan's Pacific League, including the potentially big ramifications on MLB free agency and the draft. News analysis @ESPN: https://t.co/tvl26NZhLA pic.twitter.com/HlW7hYX9pl
— Jeff Passan (@JeffPassan) 2019年5月22日
ジェフ・パッサン氏のTwitterより。
700万ドルは5/22現在のレートで約7億7,000万円。
スチュワート投手はアメリカ・フロリダ州出身、1999年生まれの19歳。パーフェクトゲームへの出場も果たすなど、高校時代に大きくスケールアップし、MLBドラフト史上初の高卒右腕の全体1位指名なるか、と言われるほど高く評価されていました(高卒右腕の全体1位が今までいなかったとは。知りませんでした・・・)。結果は全体8位指名でしたが、それでも最高クラスの逸材という評価には違いありません。※なお全体1位は大卒右腕、DETケイシー・マイズ投手でした。
しかし、契約が合意に至る前に手首の故障への懸念が浮上。スチュワート投手自身は自覚症状が無いものだったようです。
これによりATL側が提示した契約金の額が大きく抑えられ、スチュワート投手側が希望した契約金の額と大きな開きがあったために結局入団には至らず。スチュワート投手側が希望していた金額に対し、ATL側が提示したのはその4割程度だったようです。
(なお、最近では2014年に全体1位指名されたブレイディ・エイケン投手が、同様の経緯でHOUへの入団に至らなかったことがありました。エイケン投手は翌年、1巡目全体17位でCLEから指名され、入団しています。)
スチュワート投手はその後、短大へ進学。今年のドラフトで上位指名されることが予想されていました。MLB公式では今年のドラフト候補選手のランキングを掲載していますが、スチュワート投手は現在、全体59位にランクインしています。さすがに昨年と同じ順位は厳しいですが、このランク通りなら1〜2巡目には指名されるでしょう。
そんな中でのNPB球団との契約となると前代未聞の出来事で、ここまでは日本よりもアメリカの方が驚きの反応を強く示している印象です。
6年総額700万ドルでの契約が報道の通り締結されたとすると、ソフトバンク側としては年平均1.3億円弱で6年間、年齢的な衰えのリスクの無い助っ人を雇えることになります。またスチュワート投手がポスティング対象であるならば、その時にまとまった収入が得られるというメリットもあります。
スチュワート投手側としては、間違いなく将来はMLBの舞台に立つことを目指しているでしょうから、今年ドラフトで指名されてMLB球団に入団した場合に較べて有利であると考えての今回の判断でしょう。実際、MLB入りして順調にいって23〜24歳でメジャー昇格を果たして25歳を迎えた場合と、ソフトバンクとの6年契約を終えた25歳の時点では、それまでに得た給与の額は断然ソフトバンクとの契約を全うした場合の方が多くなります。またマイナーとNPBでは選手を取り巻く環境も段違いで、より快適に野球に打ち込めるのはNPBでしょう。その他、米マイナーでは若手はチームからシーズンのイニングや球数に制限が設けられていることも多いですが、NPBは約100球の中6日ローテが基本で移動も圧倒的に楽、また毎試合ベンチ入りする必要がないなど、消耗としては同程度になるのではないかと考えられ、25歳になっても自身の商品価値を落とすことなく米球界に売り込みをかけられる、との目論見もありそうです。もっとも、この辺り(年間のイニング数や登板数など)はスチュワート投手の代理人がボラス氏ですから、細かな取り決めがなされている可能性は充分にあります。
これまで、日米両球界はアマチュア選手の獲得に対して色々な協定を設けていたために今回のような事は実現していませんでした。様々な要素が重なっての出来事と言えますが、反対に日本のアマチュア選手がNPBを経ずに、直接MLB入りすることも今後増えるかもしれません。今回の事についてMLB側がどのような反応や見解を示すのか、これも非常に興味深い点です。
ドラフト全体8位指名された19歳という、日本球界ではこれまでに無いポテンシャルの持ち主が日本の野球に対してどれだけやれるのか、という非常に楽しみな未知の要素を私たち野球ファンは目にすることが出来ます。これまではNPBのスーパースター達がメジャーでどんな活躍を見せてくれるのか、あるいはメジャーリーガーがNPBでどれだけ圧倒的なプレーを見せてくれるのか、という見方しか無かったとも言えます。普段はMLB公式サイトやYouTubeなどでワクワクしながら見ているトッププロスペクトのプレーが、生で見られるとは、私自身ホークスに対して大きな感謝の念を抱いております。(笑)
まずは2軍からのスタートでしょうが、これはウエスタンのホークス対カープ戦を見に筑後船小屋に行くしか無いでしょう・・・。
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