今日は・・・台風の影響でカープの試合は中止となりました。
三連休に台風とは、家でゆっくり本でも読むしかないですね。
くれぐれも災害への備えはお忘れなきよう。
真っ向勝負のスローカーブ
星野伸之(新潮社)
個人的オススメ度:★★★☆☆
唯一無二、という言葉がぴったりと当てはまる投手と呼べる星野氏の存在は、プロ野球の奥深さというものをこの上なく体現していたと断言して差し支えないでしょう。
一風変わったフォームから繰り出される渾身のストレートはほとんどが120キロ台、そして90キロにも満たないスローカーブとフォークボール。
球が遅いのなら緻密な技巧派かと言えば全くそんな事はなく、コントロールもそれほど良くはない・・・そんな星野氏がいかにしてプロ野球の世界でチームのエースとして戦い続け、176もの勝利を積み上げることが出来たのか?
本書は打者を打ち取るため、試合に勝つために氏が取り組んできた色々な工夫と心構え、あるいは現役時代のエピソード、印象に残った選手・監督や対戦等をまとめた一冊となっています。
私が野球を見始めた当時、オリックス・ブルーウェーブという球団がありました。
ご存知、イチローさんが過去に在籍し、後に近鉄バファローズを吸収合併して現在のオリックス・バファローズとなった球団です。
その当時から私は星野投手の事が大好きだったのですが、その頃はスピードが無くても緩急で勝負出来る、これがキモなんだな、程度の浅い考えしか持っていませんでした。
しかし本書を読み、1球1球の考え抜かれた駆け引きと、何と言ってもこの上なく研ぎ澄まされた感性、これこそが星野氏の大きな武器だったのだと気付かされます。
理論派のノムさんが星野氏を評するのに困って、『まあええ。芸術にデータは不要や』と言い放ってしまうあたり、技術や理論を超えた感性の持ち主なのでしょうね。
星野氏のフォームや投球術のような、独特の切り口で野球の面白さの可能性を限りなく拡げてくれる、ユニークな一冊。
おもしろいですよ。
星野投手の現役時代を見た事がない方は、事前にYouTubeで予習しておくことをオススメします。
動画を見ているだけでも、投球というものの奥深さを感じられて面白いですね。
ちなみに、あの有名な『素手キャッチ事件』についても触れられています。(笑)