主導権はこちらにありながら、一転して窮地に立たされ、しかし結果的には2本のホームランが作用して勝利。
こんな事もあるんですから、野球とは奥深く、面白い!
カープが終始リードしつつも阪神が食い下がる白熱した試合。
7回に同点に追いつかれても、以降は森浦投手と栗林投手で守り切れる。昨日今日の打線の調子を考えれば、9回までにどこかで勝ち越せるだろう、という雰囲気がありました。
それが得点出来ずに10回に逆に勝ち越しを許すと状況は一変。阪神はアルカンタラ投手を登板させ、これは厳しいかな・・・というところからの坂倉選手の起死回生同点ソロ!
そして直前の雪辱を果たすべく佐々岡監督は松本投手を回跨ぎに送り出し、見事それがハマると終幕は宇草選手のサヨナラアーチ!!
という、最後まで盛り上がったシーソーゲームでした。
印象深かったポイントが2つ。
1つ目は11回表の守り、松本投手の回跨ぎ。
10回表から登板し、いきなりの連打を浴びてわずか4球で失点してしまいました。
何とか後続を抑えたものの、もちろんあの状況で1失点でもしてしまっては仕事を果たしたことになりません。
その裏に同点に追いついたことで戦犯は一旦免れましたが、松本投手は次の回もそのままマウンドへ。
これには驚きました。佐々岡監督は、すぐさま松本投手に失敗を取り返す機会を与えたのです。もし前の回に失点しなかった場合、そのまま同点なら回跨ぎが予定されていて、それをそのまま踏襲したのかもしれません。にしても、なかなか勇気の要る決断です。結果、これに松本投手が見事に応えたことで、カープは勝利へと近づきます。
2つ目は勿論、宇草選手のサヨナラホームラン。
いや、サヨナラホームランと言うより『一振り』と言った方が適切かもしれません。
前の2人が連続三振し、2アウトランナー無しで迎える打席。あの場面で初球を迷いなく振れるか?そこがなかなか難しいところ。
ここで宇草選手は、ヒーローインタビューでの印象そのままの冷静な考察から、あの迷いなき一振りを決断したのでしょう。
ピッチャーは連続三振の勢いを駆って速い真っ直ぐでストライクを取りにくる。全体的に力勝負に弱いカープ打線を相手にして、これは合理的な配球でもあると思います。
2アウトランナー無し。相手にリズムを与えたくない、攻撃の時間を少しでも延ばしたい、次の投手が準備する時間を作りたい、そういう理由で初球は見逃しておくというのは定石です。
しかしこの状況を見極めて、最大の結果を生み出せそうなところはここだ、と判断した冷静な一振り。その結果は、スタジアムに、お茶の間に、熱狂と歓喜をもたらしました。
今日の宇草選手はこの一振りの他にも、3回裏の出塁と生還での走塁で素晴らしいセンスを見せています。
センス、ひらめき、冷静さ。
今日のヒーロー宇草選手は守備こそちょっとアレですけれども、攻撃型野手としてチームの柱になる選手だと、私は思っておりますよ。