今日の試合前、カープに今シーズン加入した助っ人であるDJジョンソン投手の楽天への金銭トレードが成立したとの報道を目にしました。
正直言ってカープではあまりいいところを見せられませんでしたが、求められて行くこととなる新天地では出場機会も増えそうですし活躍を祈ります。
入団が決まったときの記事を見返してみると、寂しい気持ちになりますね・・・。
でも、せっかく海を渡る一大決心をしたのですから、今回のトレードはそれを最大限に活かすいい機会だったと思います。
さて、助っ人は基本的には即戦力としての補強であることは明らかです。
それをシーズン半ばで放出、しかも対価は選手ではなく金銭ということで、支配下の枠を空けたことにもなります。
今シーズンを勝つことよりも、徐々に新しいチーム作りに着手する方針がだんだんと鮮明になってきました。
この事実を経て臨んだ今日の試合。
幸先よく先制するものの、対する巨人に効率的に得点を重ねられ、逆にカープ打線は今シーズンよく目にするミスショットの連発で淡々とアウトを積み重ねていきました。
スコアは2−6となり、迎えた5回オモテ。
ここは私にとって強く印象に残った場面でした。
巨人の先発・2年目の直江投手はプロ初勝利を目前に、1アウトを取ったあとに連続四死球を与えます。
球数は85、ここから3巡目のクリーンアップを迎えるというところで投手交代を告げられました。
いつもカープの方にばかり注目しがちな私は、『えっ!?』という思いでした。
確かに球数・3巡目を考えると経験の無さもあって少々苦しいところかもしれませんが、今日の巨人打線の調子と一旦ビハインドになると投壊が止まらないカープの守りを思うとプロ初勝利の大チャンス、ここは大目に見てあげても・・・と。
しかし、考えてみれば巨人は『今年勝ちに行く』チームです。
シーズン開始前から大本命でしたが、今はマジックまで点灯しており『100%優勝しなければいけない』状況です。
優勝の仕方も大事です。ここで万が一逆転されてそのまま試合を落としでもすれば、リーグ優勝が1日延びることになり、消化試合が少なくなって日本シリーズへのコンディション調整にわずかでも影響するかもしれません。
『勝てる試合』という状況が半ば出来上がった戦況では、これをうっかり落とすわけにはいかないのです。
ここが勝負どころと見た原監督は即座に決断。
続く大江投手が四球を出すと、ここでもスイッチ。
結果は無失点で切り抜け、以降ピンチらしいピンチを作ることなく難なくカープを降しました。つまりあの場面での判断、今日の試合の中で最も危ないところだという空気を漏らすことなく察知して対処したということです。
直江投手のベンチに戻ってからのとても悔しそうな表情は印象的でした。
優勝のみを目標としているチームの中では、若手にチャンスを与える余裕はなかなかありません。
しかしその中で頭角を表すことが出来れば、間違いなく高い実力を備えたということになっているでしょう。
勝利と育成を両立するのは本当に難しいものだと、そう思わずにはいられないシーンでした。
反対にカープは、既に『今年勝ちに行く』チームではありません。
CSも無いので、極端な表現ではありますが結果にこだわらずに戦力の見極めや育成に試合を利用したほうが合理的です。
今シーズン大きく成長した坂倉選手をはじめ、大盛選手や塹江投手、ケムナ投手、島内投手など、ポテンシャルのある若手選手には失敗を重ねようが関係なくどんどん実戦経験を積ませています。
伸び悩む中堅どころの選手たちはその中で競わせ、ベテランの域にある選手たちはレギュラーあるいは一軍確約のような起用をしつつ、次のコアとなる選手との交代の時期を見極めているように見えます。
今日のスタメンを見たとき、数年後にまた優勝争いをするようなチームが出来上がったとして、果たしてこの中から何人がそこに名を連ねているでしょうか?
現実的に考えると、3人か4人くらいではないでしょうか。ではそれ以外は一体いつ入れ替わるのか?
勝ちに行かない間は、チームの中では大きな変革が起きなければいけません。
今のカープは、そのさなかにあるのだと思っています。
考えてみれば、目先の勝利を得ようとするよりも、未来の勝利を作ろうとするほうが格段に難しい仕事であるような気がしてきます。
しかしそういったことは三連覇の前に経験済みのはず。
このノウハウが失われないよう、まだ見ぬ未来の結果が素晴らしいものとなっていることを信じて、明日(今日?)もカープを応援します。
それにしても対照的な、今日のカープと巨人でした。
結果も内容も臨み方も捉え方もね。
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